地方から上京してきて10年が経過した。ひとつの区切りとして、東京生活10年を振り返って、上京して良かったこと、後悔していることなどを振り返りつつ、今後上京することを検討している人達の参考になれば良いなあという思いで、記事を書いてみる。
上京のきっかけは大学進学
僕の場合、上京のきっかけは大学進学だった。大学進学の際には、東京の大学に進学することにあまり悩みはしなかった。
理由はいつか東京に行くなら、早いほうが良いと思っていたから。東京に何かを期待していた訳でもなく、お洒落な街に憧れていた訳でもないけど、東京で生活するということをとりあえず経験しておきたかった。これが率直な理由だった。
両親には反対されなかった
世の中には上京の希望を両親に反対される高校生も多いと聞く。特に女性の場合その傾向が強いのだろう。こればかりは両親の考え次第だと思うけど、我が家の両親は普通に賛成してくれた。
もともと放任主義であったことに加え、両親とも東京で生活していたことがあるので、東京で生活することにそれなりの価値があると思っていたからだろうと思う。ただし、「学費は出すけど生活費は自分で」ということで、学生時代の生活費は奨学金とアルバイトでまかなった。
東京の生活費は?地方との比較。
ところで「東京の生活費は高い」と聞くけど、10年住んでみて、それはあまりにも言葉足らずだと分かった。まず「生活費」で一括りにするのはあまりに乱暴であって、「生活費」の中でも高いのは家賃・駐車場くらいだろう。なんといっても人口密度が高いので、土地の値段が高いのは事実。だから家賃・駐車場の高さは不可避である。
土地が高ければ小売店や飲食店の販売価格にも反映される訳だけど、一方で地方に比べてお客さんも多いので、薄利多売で利益を出せるため、結局値段はあまり変わらない水準に落ち着いている。だから日用品や食費に関しては全然高くない。もちろん高くしようと思えばいくらでも高級店があるので高くできるけど、安く抑えようと思えばその選択肢もしっかり用意されている。
車は必要ない
家賃・駐車場が高いと書いたけど、まず後者の駐車場について。これは問題ないと思う。というのも、車は本当に要らない。特に23区に住んでいれば車なんて扱いづらくて欲しいと思ったことがない。だから駐車場はめちゃくちゃ高いけど、そもそも借りる必要がないので全然気にしなくてよかった。基本は電車・バスを利用し、必要に応じてタクシー・カーシェアリング・レンタカーを使うようにすれば良い。
余談だけど、東京23区で軽自動車を見ることはほとんどない。社用車ぽい感じの軽自動車はたまに見るけど、家庭で使っていると思われる車は高級そうな車ばかり。つまり、東京23区における車は生活必需品ではなく贅沢品という位置づけなのだろう。
僕は今後も東京23区で車を保有することはたぶんないと確信している。保有コストが高いということもあるけど、それ以上に必要と思うことがない。
家賃は高いけど…
前述のとおり駐車場代は高いけどそもそも要らないと述べたが、家ばかりは借りない訳にはいかない。ここは甘んじて20㎡の1Kを70,000円くらい(+初期費用200,000円)で借りるのが王道だ。
しかし工夫の余地はある。事実、僕は上京したての頃、住居費にそんなにお金をかけていない。それは50,000円くらいのシェアハウスから生活をスタートしたからだ。シェアハウスであれば初期費用がかからないところも多く、家具・家電等が備えつきのところも多い。
東京にはシェアハウスが多い。交流目的なのか、節約目的なのか、それぞれのニーズに合ったシェアハウスが見つかるはず。だから、家賃に関しても抑えようと思えば割とどうにでもなる。
東京生活はストレスフル。だけど・・・楽しく、刺激的
東京での生活を地方での生活と比較して一言で表現すれば、「刺激的」だと思う。「刺激的」はプラスとマイナスの両方を含んでおり、「楽しい」、「興味深い」、「興奮する」だったり、一方で「ストレスフル」、「苦しい」、「腹立たしい」ということも含む。
とにかく色々な場所、色々な人がいて、色んな感情を湧き起こされる。
逆にいつも同じ風景、同じ場所・・・という安心感はないかもしれない。
満員電車は鬼。
東京23区のどの路線に乗っても、通勤ラッシュは鬼のように混んでいる。
通勤ラッシュは朝・夕だけでなく、終電間際も割りとすごい。
23時台の大手町駅を歩いていると、疲れた顔したサラリーマン、OLが大量に歩いている。これは、東京でしか見られないだろう。
通勤ラッシュほど皆に嫌われているものは無いだろう。だから、職住近接にした方が絶対幸せになれると思う。前述のシェアハウスにはサラリーマンの利用者も多いけど、「会社の近くに住みたいけど家賃高すぎ」という社会人にはシェアハウスは検討の価値があると思っている。
ふらっと飲みに行ける幸せ
東京は飲み屋が多い。オールジャンルが揃っている新宿、池袋。それよりも少しお洒落に、渋谷。昼から安く飲める街、上野、浅草、赤羽・・・。新橋で軽く飲んでから銀座へ・・・。ディープな下町、立石・柴又・・・。などなど、ふらふら~っと飲みに行けるお店がたくさんある。きっと何処に住んでも家から歩いていける距離に呑み屋がある。
今では一人でふらっと飲みに行って、楽しめるお店もいくつか出来た。
友達はすぐにできる。でも一人にもしてもらえる。
僕の場合は「友達が欲しい!」と思うことがないので、割と別にどうでも良いことだけど、単身で上京したら「友達ができるか・・・」「寂しくないか・・・」と心配する人もいるらしい。でも、心配ご無用だ。立ち飲み屋に行ってみてもいいし、腐るほどある社会人サークルに参加しても良いだろう。異性との出会いだって、合コンやネットでの出会いなど、色々ある。
同じような境遇の人達で溢れているから、友達なんてすぐに出来る。
逆に必要ないと思えば、一人で生活することも可能であって、それが僕にとってはすごく気楽で良い。
近所づきあいがないのは、とても気楽。
気楽という意味では、友達だけでなく近所づきあいも同じ。「アパート・マンションの隣の人と話したことがない」、なんていうのは普通の話。田舎の具合によっては濃い近所づきあいや、自治体の活動への参加を余儀なくされたりするけれど、東京ではそうした心配は皆無。
人がたくさんいるからこそ、紛れられる。人付き合いが苦手な人にとっては、「人が全く居ない僻地」か「人で溢れる都会」のどちらか両極端が気楽だというのは面白い。
可能性が広がる
ひとつの疑いようのない事実として、東京にいると様々な可能性が広がるということがある。資本が集まり、人が集まる。だから新たな試みの多くが東京で生まれる。そうすると新しい気づきが得られる。何かしようと思えばそれに関連するイベントなどがすぐに見つかる。
給料はやっぱり高い
東京の魅力のひとつとして、給料が高いということがあるだろう。大企業が多いし、最低賃金も高い。特に専門スキルを必要としない事務職の派遣でも時給2,000円以上の求人はけっこうゴロゴロとある。時給2,000円あれば、1日実働8時間、年間240日勤務で400万弱貰える。
同じような仕事で地方都市だと300万円くらいまで下がるだろう。そうすると、家賃の差を考えても東京に暮らしたほうが貯金は出来るし、車を持たなくて良いことを考えれば生活にもっと余裕が出来る。
上京して後悔している?帰りたい?
ウダウダ述べてきたけど、上京して10年。10年前の自分の選択は正解だったか・・・というと、正解だったと思う。上京していない場合を経験していないので正確なことは誰にも言えない訳だが、「上京してなければこんな経験はできなかったな」ということが数え切れないほどあるから。その逆で「上京したから出来なかった」ということが思いつかない。
もちろんその経験の中には辛いこと、嫌なことも含まれているわけだけど、それらも含めて良かったなと。
まだ、しばらくは東京に暮らす
もともと僕は人が多いところは苦手だし、自然が好きだし、物欲は少ないし・・・東京に馴染まないと思っていた。でも東京には僕と同じような人も多いし、けっこう皆楽しそうにやっている気がする。新宿から奥多摩へは電車で一本で行けるし、けっこう懐が深い都市だと気がつかされた。
まだまだ気がついていない東京の良さがたくさんあると思うから、僕はもうしばらく東京で働いて、暮らそうと思う。
上京を悩んでいる人がいたら、無責任ながらもこう言いたい。
コグレ