コグレトーキョー

東京に暮らすサラリーマンの雑記帖です。良い物を長く使いたい性質です。

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若きモルモン教宣教師との交流のおもひで

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若い二人の宣教師との出会い

 もうかれこれ10年ほど前(2009年頃)の話になるが、僕が大学2年生だった夏のある日、2時限の授業が終わり暇をもてあましていたので、何と無しに高田馬場の街をぶらぶらしていた。

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すると、

「神様を信じていますか?」

と、急に後ろから声をかけられた。
街の喧噪の中で耳に入ってくる他の音とは明らかに異なり、確かに自分に向けて発せられたメッセージだと分かった。立ち止まり振り返ると、車道沿いに二人のワイシャツ・ネクタイ姿の男性が自転車に跨って立っていた。

「あなたは神様を信じていますか?」

再度同じ質問だ。
足を止めた手前、黙殺はできない。という思いもあったが、それ以上に相手が外国人であったことが僕の興味を惹きたてた。普段であれば街中で唐突にこんな質問をされても、真顔で無視か、よくて愛想笑いで切り抜けるところだが、その日は「面白そうだな」という気持ちが先行した。

「いえ、信じていません。」

向きを変え、相手に正対してきちんと回答した。答えこそ否定であったが、興味を持ったことが相手にも伝わったのだろう、二人の白人は少し嬉しそうにしていた。

これが僕と二人の若きモルモン教宣教師との出会いだった。

アメリカからの使者、モルモン教宣教師の布教活動。

僕らは人通りの多い早稲田通り沿いで、それぞれ車道と歩道に立ち、簡単に自己紹介をした。
一人は身長170cmくらいのガッシリした体型で、名をマットと言った。彼は二十歳前後で大学を休学して宣教師として日本に来た、と言っていた。
もう一人は身長185cmくらいのひょろっとした男性で、名前は忘れてしまった(ここではジマーとしておく)。ジマーはマットよりも少し年上で、アメリカ陸軍の通信技師の仕事を辞めて布教活動に来たと言っていた。

簡単に自己紹介をしたあと、彼らは僕を教会に誘った。少し不安な気持ちもあったが、彼らの人柄がとても誠実に思えたこと、何より暇をもてあまし刺激を求めていたことから、行ってみることにした。場所は西武池袋線の東長崎駅だ。

マットは来日して一年半ほど経過したと言っており、日本語が非常に流暢であった。それでも当然完璧ではない。マットが高田馬場駅前を歩きながら、「街がとても忙しい。」と言ったのを覚えている。恐らく英語の「busy(=往来や出入りが激しい状態)」から、「busy=忙しい」と変換し、「街がとても忙しい。」と言ったのだろう。
「真面目に座学で日本語を勉強しているんだろうな」ということを思ったのを記憶している。

高田馬場駅に着き、僕は電車で、彼らは自転車で別れて東長崎に向かうこととなった。

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末日聖徒イエス・キリスト教会日本東京伝道本部を訪ねる 

電車を乗り継いで東長崎駅に着くと既に二人は駅前で待っていた。僕に気がついて、マットが僕を下の名前で呼びかける。教会は駅から歩いて10分くらいのところにあった。

教会まで歩いている間、僕は色々な質問をした。「日本語はアメリカにいるときから勉強していたのか」、「布教活動をする国は選べるのか」、「お金はどうしているのか」・・・彼らはひとつひとつ丁寧に答えてくれた。

布教活動の国(伝道地)は選べないらしく、伝道地が決定してから一定期間日本語を勉強してから日本に来たそうだ。2年間が宣教師の期間らしい。その間のお金は自費(!?)らしく、ジマーは布教活動に出るために仕事をしてお金を貯めたと言っていた。

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教会は閑静な住宅街の中にあり、よく手入れされた庭と掃除が行き届いた綺麗な館内で、「ああ、教会っぽいな・・・」と感じたのを覚えている。大きな教会ではなかったが、やはりそこには教会然とした佇まいがあった。 

一方で入り口には地域に向けた手書きの英会話レッスンに関する案内があったり、アットホームな雰囲気もあった。外壁には「末日聖徒イエス・キリスト教会」と書いてあり、これがモルモン教会の正式名称なのだそう。

教会に入るとマットが色々とモルモン教の教義について教えてくれた。
「ジョセフ・スミス・ジュニアが預言者に選ばれ末日聖徒イエス・キリスト教会を設立し~・・・」
うんうん、うんうん、と聞いていたが、やっぱり僕には理解できないことばかりだった。理解できないというのは、モルモン教の教え・戒律が間違っているということではなく、何故彼らがモルモン教の歴史を信じられるのかが理解できなかった。

例えば、「神がジョセフ・スミス・ジュニアを預言者に選んだ」ということをマットが心から信じている、ということは伝わってきた。しかし、そこに科学はない。なぜ信じられるのかを聞いても、論理的な説明はなかった。だから僕には信じられる見込みが微塵も得られなかった。

これはモルモン教に限らず、全ての宗教にも言えることだと思うが。

みんな誠実で気のいい奴らだった

教会にはたくさんの宣教師がいて、マットとジマー以外とも話をした。その時は10人ほどの宣教師がいた。

話をした中で特に印象に残っているのは、少し調子の良さそうな小柄な男性だ。彼はジョン・ストックトンの息子と同じ学校に通っていて、一緒に野球をしたことがあると言っていた。ジョン・ストックトンと言えば僕が好きなNBAのチーム「ユタ・ジャズ」の一時代を築き上げた選手だ。やたらと自慢げに話をしていたので話半分に聞いていたが、まあだいたい事実なんだろう。

何故ならNBAのチーム「ユタ・ジャズ」はアメリカ合衆国ユタ州のソルトレイクシティを本拠地としていて、ソルトレイクシティはモルモン教が拓いた町と言われているほど、モルモン教と密接な関係があるからだ。だからジョン・ストックトンと彼らの住まいが同地域なのは確かであろう。

ちなみにマット以外とは宗教の話は全くしなかった。というか、マットともこの時以降、ほとんど宗教の話はしていない。取るに足らない話をしていたと思うが、あまり覚えていない。ひとつ覚えているのは、彼らが「今度バスケットボールをしよう」と誘ってくれたこと。これは残念ながら実現しなかったが…。彼らとの交流を通して思ったこと、それは俗っぽい表現を使えば、どなたも「民度の高い」人だなあということだった。

夕方になり、僕はマットと連絡先を交換し、家路に着いた。お土産に分厚い「モルモン書」をもらった。今でも実家のどこかに眠っていると思う。

マットとの別れ

マットは時々、電話やメールをくれた。何度か一緒に食事をしたり、公園でバスケットボールをした。その間、宗教の勧誘をされることはなかった。別に勧誘をされたとしても何とも思わないが、寧ろ宣教師なのだから勧誘されるのが自然だと思っていたが、一切なかった。

マットが言っていたが、宣教師の活動は勧誘というより「モルモン教のことを知ってもらう」ことなのだそう。似ているが微妙に違っていて、必ずしも信者を増やしたいのではなく、信者以外にもモルモン教のことを知って(=理解して)もらいたい、のだそう。

僕は彼とお酒が飲みたいと思って一度誘ったことがあるが、戒律によりお酒はNGなのだ。コーヒーもダメ、基本的に水しか飲まないと言っていた。

暫くして、2年間の宣教師の期間が終わり、マットの帰国の日が近づいてきた。帰国のことを知らせてくれたが、結局タイミングが合わず、そのままお別れとなってしまった。僕にとっては後にも先にもこの時だけしか経験していない、何とも不思議な関係だった。

僕がモルモン教について感じていること

以上、つらつらとモルモン教の宣教師との交流を思い出してみた。
まず一連の交流を通して、僕はモルモン教の教義については何も分かっていない。小一時間、マットに解説してもらった以上の知識は聞いていないし、それもほぼ全て翌日には忘れていたと思う。

ただ僕が感じているのは、モルモン教がとても「真面目な」宗教だということ。モルモン教はその戒律の厳しさや一夫多妻制(昔の話です)のイメージから、エホバの証人、統一教会と並んでキリスト教の三大異端(カルト)に数えられる。”カルト”という響きはオウム真理教等の経験から、日本人の多くは犯罪を連想するのではないか。日本のように八百万の神様の発想の国では、一神教の宗教は全て理解不能、というのは無理もないけど、カルトを全て一緒くたにするのは乱暴であると自戒の念を込めて、伝えたい。

周りに害を与えない真面目なカルトもあるのだと。(カルトと言ったら失礼なのかな・・・)

ちなみに僕が前住んでいたマンションにはよくエホバの証人の3人組(こっちは3人なんだよな・・・)が来ていたが、彼らも悪い人には到底思えなかった。僕がちょろすぎるのか・・・? 

モルモン教の戒律・宣教師の活動について驚いたこと

既に一部、上に触れているが、マットたちとの交流を通じて知った、彼らの生活・戒律に関して驚いたこと。

  • コーヒー、酒、お茶を飲んじゃダメ。
  • 献金の義務(収入の10%を教会に寄付する)
  • 布教活動の場所は選べないうえに2年間。費用は一部を除き自己負担。
  • 婚前交渉は重い罪(カトリックもそうだよね)

上智大学がモルモン教についてコメントしている

上智大学の「カトリックに関する Q&Aコーナー」という公式のページでモルモン教についてコメントされていました。

質問:近くにモルモン教の教会があって、礼儀正しい外国人の青年が路上で熱心に勧誘しています。正統なキリスト教の教派とみなしてもよいのでしょうか。

回答:モルモン教は、正式の名称は「末日聖徒イエス・キリスト教会」と言って・・・
~(途中、略)~
・・・モルモン教徒の倫理的なまじめさは尊敬に値しますが、その教えは架空の私小説に基づく、一九世紀のアメリカの世界覇権の自負心に由来する、と言ってもよいでしょう。正統なキリスト教とは言えません。 

うわ、少し上げて思いっきり突き落としとる。。

モルモン教の英会話教室(GOeigo)について

違う視点からひとつ。僕が教会に行ったときにも案内が出ていたが、モルモン教の教会では奉仕活動の1つとしてGOeigoという英会話教室が行われている。

当然、完全無料だ。これが「お金をかけない”英会話習得術」としてPresident Onlineで特集されている。記事の中に「4年ほど教室に通ったが、勧誘らしいことはほとんどなかった」と書いてあるが、僕の体験とも合致している。確かにお金をかけずに英語を修得したければ、良い選択肢かもしれない。

最後に

なんだかモルモン教マンセーな感じになっている気がするが、以下のサイトが面白かった。世界中で同じように活動しているのだなあと思い、これだけの草根の活動を続けている原動力(=信仰心)はすごいなあと思った。